埼玉司法書士会

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■借金だから支払わないと駄目ですか?

 私は昔、消費者金融から借金をしました。ただ生活が苦しく返済できずにいたところ、最後の返済から5年以上経過してしまいました。その間消費者金融から支払いの督促もなく私も借金のことは忘れていました。しかし、最近になって突然、私の借金をX会社に譲渡したという手紙が届き、その後、X会社から支払いを求める督促の手紙が私の元に届くようになりました。支払いをしないまま5年経過すると借金を返さなくてもよくなると聞いたことがあるのですが、借金をした会社が変わってしまうと支払わないといけないのでしょうか?

 消費者金融からの借金については、裁判が起こされていない等の一定の要件を満たしていれば、最後に返済した日などから5年で時効となり、事実上、借金の支払い義務は消滅します。そして、当時の消費者金融からの請求ではなく、債権譲渡を受けたとする会社等からの請求であっても、時効期間の5年は引き継がれます。そのため、債権譲渡等により借金をした会社が変わったとしても、借金の支払い義務は消滅することになります。

 ただし、借金は5年経過すれば時効によって勝手に消滅するわけではありません。相手に時効であることを主張することで初めて時効の効果が得られることに注意が必要です。借金だから仕方ないかと諦める前に、また、時効だから大丈夫と安心する前に、一度、司法書士や弁護士といった法律専門家に相談をしてください。

 相談したいけれど、法律専門家に相談料を支払えない、手続を依頼したいけれど、着手金や報酬を支払えないといってちゅうちょされる方もいると思います。法律専門家へ支払う費用が心配という方は、「日本司法支援センター」(通称・法テラス)の民事法律扶助制度を活用してください。

 法テラスの民事法律扶助制度では、資力基準(収入や資産の有無)を満たせば、同じ相談内容について3回まで無料相談を受けられます。まずは無料相談への申し込みを検討してみてください。そして、法テラスでは訴訟手続きなどの費用の立て替えも行っています。立て替え費用は、後日分割で法テラスへ償還(返済)する必要がありますが、月額5千円程度からの金額設定も可能なため、生活状況に応じて無理のない償還金額を申し込むことが可能です。

 今回ご紹介したような借金の返済に関するご相談について、詳しくは、お近くの司法書士事務所(※)または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。

(※)借金の返済に関して相談者の代理人として対応できる司法書士は、法務大臣の認定を受けた司法書士に限られます。また、それらの司法書士が取り扱うことができる事件は、簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件の範囲内です。

(司法書士 遊馬庸介)

埼玉新聞 令和7年4月3日から転載

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