■亡き親族の不動産を網羅的に調べるには
亡き伯父の相続手続を進めているのですが、あまり交流がなかったため、どのような不動産を保有していたのかよく分かりません。どのように調べればよいでしょう。
まずは、権利証(登記識別情報通知)や不動産売買契約書、過去に取得した登記簿謄本などを探してみましょう。見つけることができたら第一段階としては十分ですが、他に不動産がないか留意しましょう。
次に、市区町村役場から毎年不動産の所有者に対し送付される固定資産税納税通知書(以下、本通知書)を探してみましょう。ただし、私道や墓地、評価額が一定額以下の不動産など、固定資産税が課税されない不動産は本通知書には記載されません。その市区町村に非課税物件しかない場合は、本通知書自体送付されません。このような場合、本通知書が見つからなくても、不動産がある市区町村役場で名寄(なよせ)帳を発行してもらうこともできます。ただし、名寄帳も自治体によっては非課税物件が記載されない場合もありますので、注意が必要です。
この他に令和8年2月2日から運用が開始された所有不動産記録証明書(以下、本証明書)というものがあります。本証明書は、全国の法務局において、所有者本人または相続人などからの請求に基づき、特定の人が所有する全国の不動産を一覧にして証明するもので、本証明書を請求するのもよいでしょう。
ただし、注意点もあります。請求書に記載した氏名・住所と、登記簿上の氏名・住所が一致している不動産しか抽出されないため、転居歴がある場合は旧住所、婚姻などによる改姓がある場合は旧姓を記載して請求しないと、網羅的に把握できません。また、先代の相続登記を済ませていなかったり、建物を建てたものの登記を申請しなかったりと、所有者として登記に記録されていない場合は、本証明書に記載されません。なお、1通あたり1,600円(オンライン請求の場合、若干異なります)の手数料がかかります。
このように、所有不動産を把握するうえで手がかりとする資料について、一つだけでは網羅的に把握することは難しいので、複数の資料を併用することをお勧めします。
相続手続を進めている方だけでなく、終活として自身の不動産を整理したい方、過去に相続登記を済ませたものの漏れがないか確認したい方も、こうした調査方法を参考にしてみてください。田舎の土地や私道など、一部の不動産だけが相続登記されていないケースは少なくありません。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。
(司法書士 平田陽一)
埼玉新聞 令和8年2月4日から転載





