埼玉司法書士会

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■不動産を持つ人の他界と相続における注意点

 私の家族が他界し、遺言書が見つかりました。主な遺産は不動産です。気を付けるべきことは何でしょうか?  

 相続にまつわるご相談の中には「遺言書」と「不動産」に関するものがあります。これらの手続きについて判断を誤ると、後で思わぬトラブルにつながることがあります。

 まず、遺言書についてです。公証人が作成した遺言書であれば、家庭裁判所でする「検認」という手続きが不要なので、比較的スムーズに手続きが進みます。自筆による遺言書の場合は検認手続きが必要です。自筆の遺言書は、形式に不備があれば無効となることもありますし、遺言の有効性や内容の解釈を巡って相続人間で争いが生じれば弁護士が、遺言書の内容に基づいて相続登記や税務申告を行う必要があれば、司法書士や税理士が関わるケースもあります。

 次に、不動産を相続した場合には相続登記の申請が必要です。2024年からこれが義務化され、名義変更かそれに代わる手続きをしないまま放置すると、過料を科されることがあります。相続登記の申請は司法書士の専門分野ですが、相続登記の申請の前にまずは不動産を含む遺産をどのように分けるかの合意形成(遺産分割協議)が必要となり、相続人間で意見が折り合わないときは弁護士に介入してもらうことがあります。また、遺産に土地がある場合、土地の面積や境界を正確に把握するため、土地家屋調査士による測量や表示登記の修正をすることがあります。加えて、不動産の評価額は遺産を分けるときや相続税申告の要否に関係するため、不動産鑑定士に鑑定評価を求めたり税理士が相談に応じたりするケースもあります。つまり不動産という一つの財産をみても、司法書士・弁護士・土地家屋調査士・不動産鑑定士・税理士といった複数の士業が関与する可能性があります。

 大切なことは、遺言書の扱いや不動産の相続という点だけに着目しても、結果的に多くの士業の連携が必要になることがあるという点です。詳しくは、埼玉司法書士会(☎048・863・7861)にお尋ねください。 

(司法書士 杉田 真友)

埼玉新聞 令和7年10月2日から転載

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