
■不動産の住所等変更登記の義務化について
Q セカンドハウスとして使っている不動産を所有しています。今般自宅を引っ越すことになりましたが、このセカンドハウスについて気を付ける事はありますか。
A 2024年の相続登記の義務化に続き、26年4月1日から不動産所有者の住所変更登記が義務化されます。義務化の背景には、報道の通り、増加の一途をたどる所有者不明土地問題があり、その解消を目指す制度の一環です。
ご相談のケースでは、26年4月1日より前に自宅を転居され、セカンドハウスの登記簿上の住所を移転した場合は同日より2年以内(28年3月31日)に、26年4月1日より後に移転した場合は転居日から2年以内に、それぞれ住所変更登記を申請しなければなりません。難病を患い登記所に出向けない、移転先の住所を知られるとパートナーからドメスティックバイオレンス(DV)を受ける恐れがある、登記費用を負担する経済的余裕が無いなどの正当な理由がない場合は、5万円以下の過料が科される可能性があります。
Q 義務化の対象は住所の変更だけですか。
A 婚姻や養子縁組などで氏名が変更になった場合も同様、氏名変更登記を申請する義務が発生しますのでご注意ください。
Q 指摘のあった期限を過ぎるとすぐに過料の支払い義務が生じますか。
A 上記の期限を過ぎると直ちに過料の対象になるわけではなく、違反の事実を登記官が知って、期間を定めた催告を受けてもなお、変更登記の申請がなされない場合が対象となります。
Q 役所に転居を届け出た場合、その情報を登記所は把握できないのですか。
A 26年4月1日以降は、登記所が定期的に住基ネットに照会をかけて住所や氏名の変更の事実を知ることが可能となります。ただしこの照会は、同日以降に所有権を取得された方が対象です。それ以前に不動産を取得されている方は、照会の対象となるための申出を別途行う必要があります。この申し出はメールまたは書面で行うこととされています。登記所の管轄が複数にまたがる不動産を所有している方については、一つの登記所にまとめて申し出ができます。この申し出をしない方には住所氏名などに関する変更の催告が法務局から来ることはありませんが、登記申請の義務がなくなるわけではないのでご注意ください。
詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎ 048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 森本 賢一)
埼玉新聞 令和7年7月3日から転載