埼玉司法書士会

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■キャッシュレス決済と多重債務

 通販で「使った分の後払いができる」というアプリやクレジットカードを利用して買い物をしていました。ある日、支払期日なのに現金の用意ができなかったので、消費者金融から借りてその場をしのぎました。しかし利息が高く、増えてしまった借金を返すために別の業者からも繰り返し借りてしまい気付けば返済が難しくなってしまいました。

 コロナ禍の時期に、通販の利用者が増える、現金よりも接触が少ないなどの要因によりクレジットカードに代表されるキャッシュレス決済の利用は急速に広まりました。また、スマートフォンの普及もあり、QRコード決済、キャリア決済といった支払方法の利用も広まっています。便利なサービスですが、「つい使い過ぎてしまう」というリスクもあります。クレジットカードや通信事業者から提供されるキャリア決済は、その場ではお金を使っている感覚が乏しいため、意識しない間に利用額が高額になっていることがあるのです。

 今回のご相談のように、高額になってしまった後払い決済の支払いを切っかけに、消費者金融やクレジットカードのキャッシングを利用される方も多いです。特に最近はアプリ等簡単な手段が増えていることもあり、借入れのハードルが低くなっています。しかし、利息も嵩んで毎月の返済が大変になり、別の金融業者からも借入れをして、そもそもクレジットカードのリボ払いも残っていて……と多重債務に陥ってしまう方もいます。

 予防策としては小まめに明細を確認する、管理できるよう決済方法を増やし過ぎない、といった方法が考えられます。キャッシュレス決済の中でも現金をチャージするようなプリペイド式もあります。立て替え払いに頼ることなく、収入の範囲で支出を賄うということに尽きます。

 キャッシュレス決済に起因して多重債務に陥る方の中には返済に追われ、生活費等の捻出がもはや難しいというケースもあります。家計等収支を見直す必要があると同時に、法的手続きを通じて生活再建を図ることも選択肢に入ります。破産や民事再生など、幾つか方法はありますが、司法書士は適切な方法を選択するためのご相談、裁判書類作成や金融機関との交渉の代理人(※)として債務整理のサポートをすることが可能です。

※簡易裁判所で取り扱うことができる民事事件の範囲内に限られます。

詳しくは埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

(司法書士 青野智大)

埼玉新聞 令和7年12月4日から転載

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