埼玉司法書士会

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■有給休暇が自由にとれない?!

 有給休暇を取ろうと上司に申し入れをしたところ、株主総会直前の忙しい時期だから、その時期を外してとるようにと言われてしまいました。会社の都合により有給休暇の取得時期が制限されてもよいのでしょうか?

 年次有給休暇制度(有給休暇)とは、6か月以上継続して勤めていて、一定の出勤(基準期間の全労働日の8割以上の出勤)をすることにより発生するものです。有給休暇の日数は、継続勤務期間に応じて年10日から20日付与されます。いわゆるパートタイム労働者など、労働日数(週4日以下)や労働時間(週30時間未満)が短い労働者については、フルタイム労働者の所定労働日数との比率を考慮して定められる日数の有給休暇が付与されることになります。パート、アルバイトだからといって一律に有給休暇がないわけではありません。

 有給休暇については法律で、「労働者が請求する時季に与える」とされており、原則としては自由に取得することが可能とされています。ただ、例外として「事業の正常な運営を妨げる場合」には「他の時季に与えることができる」とされており、会社側の都合で取得時期を変更することは可能となっています。もっとも、「事業の正常な運営を妨げる場合」については、単に恒常的な人手不足で代替勤務者の確保が困難といった理由では認められません。事業の内容や規模、担当業務等の事情を総合的に考慮して判断され、有給休暇の申出をした人が、有給休暇取得予定日に勤務することが会社にとって不可欠で、代替要員の確保困難な場合にはじめて会社の都合により有給休暇の取得の時期を制限することが可能となります。

 わが国では、有給休暇の取得率が48.7%と低い実情があります。そのため政府では5日分の有給休暇については、会社側がその取得する時季を指定して与えるよう義務付ける法律改正も予定されています。

 埼玉司法書士会では、毎月第2・第4水曜日午後6時から8時まで、労働トラブル電話相談(048-838-1889)を実施しております。詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお問合せ下さい。

(司法書士 吉田 健)

 

※埼玉新聞平成29年7月6日から転載

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