埼玉司法書士会

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■利息の利率は「年3%」?「年20%まで」?

 知り合いからお金を借りようとしたところ、「利息を払ってくれるなら、考えてもよい」と言われました。自分なりに利率について調べたところ、「年3%」や「年20%まで」という情報を目にして、どちらが適切なのかわからなくなってしまいました。利率はどのように決めるものですか?

 「払いすぎた利息を取り戻します」という過払い金請求のCMをテレビやラジオから見聞きしたことがあると思います。この利息は、利率を元に計算されますので、お金を貸す側も借りる側も、非常に気になる部分です。余談ですが、日本の歴史における利息の起源として、種もみを春に貸して秋に利息をつけて返す「出挙(すいこ)」が、8世紀初めには存在していたようです。

 さて、利息の利率には、法律上定められている「法定利率」と、当事者間の約束によって決められる「約定利率」があります。

 一般的にカードローンやキャッシングは利息制限法に基づいた約定利率が適用されています。利息制限法とは、借金の利率の上限を定めたもので、これを超える利率は無効となります。この制限が「年20%まで」の根拠になります。つまり利息制限法の範囲内で貸す側と借りる側の約束で決めた利率を約定利率と言います。

 一方の「3%」、こちらは法定利率です。法定利率とは、利息を支払う合意はあるが利率の約束がない場合の利息の算定に適用されます。例えば、Aさんがお金を貸して、Bさんが「Aさんにお金を借りたので、来年の今日、必ず利息を付けて返します」と、利息を払う約束まではしたが、利率については決めなかった場合に適用されます。また、交通事故の損害賠償の遅延損害金なども、約定利率の定めがない金銭債務になりますので法定利率が適用されます。また、商行為によって生じた債務についても、民法に規定する法定利率を適用することに変更されました。

 法定利率は、市中の金利動向と大きく離れたものになることを避けるため、動向に合わせて3年ごとに見直しが行われます。2025年現在、法定利率は「3%」です。これは、20年の民法改正で定められた時から変動はありません。しかし、将来的に法定利率が変動する可能性がありますので、当事者間で利率についてあらかじめ約束しておくことが大切になります。

 詳しくは、お近くの「暮らしの身近な法律家」の司法書士、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)にお尋ねください。

(司法書士 来間直也)

埼玉新聞 令和7年9月4日から転載

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