埼玉司法書士会

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■養育費を払ってもらいたい

私は3年前に離婚し、小学生と保育園の子どもと暮らしています。離婚の際には養育費についての話はしませんでした。子どもが小さいため、正社員では働けません。しかし、現在の収入では子どもたちを養っていくにはとても足りません。今からでも養育費の請求はできますか?

養育費とは、離婚後に子どもを育てると定めた側から相手方に対して、子どもの自立までに要する費用として請求できるもので、離婚の際に決めておくべきことの一つです。しかし実際には、父親からの養育費を受け取っている母子家庭の割合は、約2割に過ぎません。

 年間に離婚する約22万組の夫婦のうち、裁判所を利用して離婚する夫婦は約1万組に過ぎません。つまり、ほとんどの離婚は、当事者の合意(協議離婚)で行われているということになります。そのため、養育費の取り決めを忘れてしまうことや、早く離婚するためにあえて決めないことがあります。

 離婚後であっても、子どもが自立できる年齢(20歳程度)までであれば、話し合いにより養育費を決めることができますし、話し合いが難しいようであれば、家庭裁判所において養育費を定めるための調停を行うこともできます。仮に離婚の原因があなたの側にあったとしても、養育費は子どものための費用ですから、当然に請求することが出来ます。なお、養育費の金額についてですが、それぞれの収入、子どもの人数や年齢、その他個別の事情により異なります。

 一方、養育費を定めたにも関わらず、支払いがされないといったケースも多く見られます。調停などの裁判手続において養育費を定めた場合には、裁判所に依頼して履行勧告をしてもらうことが出来ます。この勧告には費用はかかりません。

 また、裁判手続や公正証書によって養育費を定めたにもかかわらず支払いがされないといった場合、相手方の給与や銀行口座を差し押さえることによって強制的に回収するといった手続きを行うこともできます。養育費を定めるときは、後日のトラブルに備え、少なくとも公正証書を作成しておいた方が良いと思われます。

詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

(司法書士 鈴木友治)

※埼玉新聞平成28年9月1日から転載

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