
■収入が少なく、生活していけないが、何か使える制度はないか?

私は70歳で、年金収入が月額6万円しかありませんが、週に4日間アルバイトをして、年金収入と合わせて何とか生活ができていました。ただ、数カ月前から体調が悪くなり、アルバイトも以前ほどできなくなりました。
現在は昼ご飯を抜いて食事の回数を減らしたり、冷暖房費を削ったりして切り詰めていますが、そろそろ限界です。預貯金も数万円しかなく、換価できるような財産もありません。
このままでは生活していけませんので借金をするしかないのでしょうか。他に何か収入を補える制度はないでしょうか。

このような場合は、生活保護の利用を検討しましょう。生存権を保障した憲法25条を受けて生活保護法1条は、「国がすべての国民に健康で文化的な最低限度の生活を保障し、困窮の程度に応じて必要な保護をおこなう」と規定されています。従いまして、最低限の生活を下回る生活を余儀なくされている人、すなわち、最低生活費を下回る収入や資産しかない人は、生活保護が利用できます。
上述のご質問ですと、大まかな計算となりますが、お住まいの自治体における最低生活費から年金収入である月額6万円とアルバイト収入を差し引いた金額を生活保護費として受け取ることができます。この点、年金収入や就労による収入があると生活保護は利用できないと誤解している人もいるようですが、上述の説明のように最低生活費を下回る収入しかないのであれば、月額収入との差額分とはなりますが、生活保護の利用はできますので、注意が必要です。
ただ、ご質問された方のように生活に困窮した方が実際に役所へ行って、生活保護の申請をしようとしても、窓口職員の生活保護法や制度に対する無理解や経験不足等により、申請が全くできず、相談だけで終わってしまうということも少なくありません。このような事態を避けるために、司法書士等の法律専門家に生活保護の申請に同行してもらうことを検討するといいでしょう。同行時に、法律専門家が生活に困窮しているという説明の援助をしたり、窓口職員の誤った説明を修正することにより、生活保護の申請がスムーズに進む場合も多いです。
埼玉司法書士会では、第1・3月曜日に生活に困窮している方を対象とした電話相談を、毎週月曜日にクレジット・サラ金についての電話相談(☎048-838-1889)を開催しておりますので、お気軽にご相談ください。詳しくは、お近くの司法書士事務所または埼玉司法書士会(☎048-863-7861)へお尋ねください。
(司法書士 飛鳥井 行寛)
埼玉新聞 令和7年5月8日から転載