埼玉司法書士会

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会長声明

■貸金業法の再改正に反対する会長声明

掲載日:2012.10.17

改正貸金業法、利息制限法及び出資法が完全施行され、政府多重債務者対策本部の多重債務者問題改善プログラムの相談窓口の拡充、セーフティネット貸付の提供、金融経済教育の強化、ヤミ金撲滅に向けた取組みの強化等の方針を受けて、埼玉司法書士会及び埼玉弁護士会等は、多重債務対策協議会を通して埼玉県及び市町等と連携し、この問題に取り組んできたところであり、このような全国的な対応により、多重債務者数、自己破産者数、ヤミ金被害者等が減少しつつあります。

官民を上げてのこれらの取組みが成果を上げている中、与野党の一部国会議員に金利規制、総量規制を緩和しようとする貸金業法再改正の動きがあることは、誠に憂慮すべき事実です。

自民党の小口金融に関する小委員会は、貸金業法の上限金利の年30%への引上げや総量規制の撤廃を骨子とする改正案をまとめて党内全体に諮る手続を進め、民主党の改正貸金業法検討ワーキングチームでは、中小・零細事業者への金利を引上げ、総量規制の廃止を含めた検討を行う方針を打ち出す等の動きがあり、これらの共通の論拠は、借りられなくなった者がヤミ金に流れているとしていますが、ヤミ金(無登録業者)の利用者が減少したとの金融庁の調査結果と一致するものではなく、貸金業界の意を受けた一部国会議員等による貸金業者に対する利益誘導論と評価せざるを得ません。

これらは、多重債務者問題改善プログラムのヤミ金撲滅に向けた取組みあるいはセーフティネット貸付等で対応すべき問題であり、いまここで、金利規制や総量規制の緩和をすることは、歴史に逆行し、貸金業法等によって着実に改善してきたこれまでの努力を無にし、多重債務問題を再燃させるものであり、このような再改正を許してはならないと断固反対するものであります。

旧法のグレーゾーン金利は、貸金業者に高金利な過剰な貸付けを許し、債務者が返済資金を調達するためさらに別の貸金業者から借りることを繰り返し、多重債務状態に陥る一方で貸金業者が暴利を貪り、これが債務者を破綻させ、自己破産申立ての急増、借金苦による自殺や犯罪を惹起し、破綻に至らないまでも生活の平穏を脅かされる潜在的多重債務者を大量に産出しました。また、多重債務被害者をターゲットにするヤミ金業者を誘発するというあらたな問題も生じさせました。

これらが深刻な社会問題となって世論を動かしたことが契機となり、全国地方議会がグレーゾーン金利撤廃・高金利引き下げを決議するなどして、上限金利の引下げ、参入規制の強化、総量規制等を骨子とする改正貸金業法及び利息制限法、出資法が平成18年12月国会で成立したことを想い起していただきたい。

平成21年6月にこれらが完全施行され、多重債務者数、ヤミ金被害が減少しつつあり、セーフティネット貸付も充分といえないまでも機能し、改正貸金業法の目的であった多重債務問題の解決の兆しが見えてきており、真に重要なことは、多重債務者が法的な救済を受けて多重債務を解消し、生活が再建できるようセーフティネット貸付や相談態勢をさらに充実させることであり、議論されている中小・零細事業者に短期の高金利の資金を提供することは、貸金業者への資金需要の掘り起こしになっても事業者のカンフル剤とならず、却って高金利が経営を圧迫しかつての多重債務者への途を早めることを忘れてはならないことです。これらは、中小企業等の経営を支援する政策として取り組むべき課題であります。

私ども司法書士は、今後も多重債務対策協議会等を通して、埼玉県などと協力連携し、貸金業法のこのような再改正に断固反対し、これからも多重債務者の救済活動を積極的に行ってまいります。

埼玉司法書士会 会長 知久公子

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