埼玉司法書士会

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会長声明

■奨学金制度の問題に関する会長談話

掲載日:2013.09.26

近年の経済状況を背景に、我が国の家庭の世帯収入が減少する一方で、大学等の授業料は上昇し、私立学校の入学時費用の負担感の調査結果でも、高等教育の費用が、家計にとって重い負担となり、授業料減免や奨学金等による支援を受ける学生等が増加していることに加え、学生の卒業後も、雇用慣行、産業構造・労働市場の変化により、なお厳しい就職状況が続き、高等教育機関を卒業した30代から50代の者の3分の1は、年収300万円以下にとどまるなど厳しい経済状況に置かれている状況にあります(本年7月29日文部科学省「学生への経済的支援の在り方に関する検討会」の中間まとめ)。そして、現在の奨学金事業は、各団体の実施する奨学金の制度数(給付型・貸与型等)では、給付型」が68.4%を占めているが、対象人員では171万人の89%、事業規模では11,535億円の96.2%と「貸与型」の奨学金制度が圧倒的な割合を占めています。

奨学金等の学生等への経済的支援は、憲法及び教育基本法の保障する教育の機会均等を実現するために国の責務として行うべきものであるが、奨学金の現状は、有利子奨学金の拡大、延滞金制度、初期延滞金の返還促進策(サービサーへの回収委託、法的措置の早期化)等と教育事業の原則から離れ、金融事業と化していると考えます。前掲まとめでも高等学校段階での高校生や保護者に対する各種経済的支援策の情報提供や将来の返済の責任や負担についての説明が不十分であること、その説明にあたる教員への周知が十分でないことを認める形となっています。また、保証人の与信審査がないことや親族が保証人となるケースが多く、返還期間も長期にわたるためその高齢化も問題のひとつとなり、親族保証人への影響を懸念する結果、自己破産等の法的整理に踏み切れないという多くの事例が見かけられます。

埼玉司法書士会は、高等教育は将来の社会、経済、文化の発展を支える人材育成という観点から、国が経済的環境によって高等教育段階への進学を断念することがないよう奨学金制度の見直しに取り組むべきこと、さらには、7兆2,760億円(平成23年度総貸付残高)の貸与奨学金が卒業後、厳しい経済状況に置かれている者の生活をさらに追い詰めるという社会問題を孕んでいることを直視し、その返還について延滞金の廃止を含めた賦課率の軽減、返還額の減免・猶予措置を講ずる等、奨学金制度の問題の改善が早急にされるよう注視するとともに、今後も消費者講座等の機会を通して警鐘を鳴らして参ります。

埼玉司法書士会 会長 知久公子

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