埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

空家問題について

 適切な管理がされていない空き家の増加が問題となっています。空き家は、周囲に危険を及ぼしたり、動物等が住み着き不衛生になったり、景観が損なわれる等の問題を生じ、地域の生活環境にも影響を及ぼします。自治体の中には条例等を制定して、この空き家問題の対策を講じているところもあり、国も「空家等対策の推進に関する特別措置法」を定めて、空き家等の所有者に対応を求めるとともに、自治体にも施策を求めています。
 司法書士は、これらの空き家の所有者や近隣の方や自治体の空き家にまつわる次のような相談にも応じます。

●空き家の所有者の支援

 空き家は私有財産で、その管理を所有者がしなくてはいけません。空き家となった原因は様々で、例えば、「引っ越し」、「施設入所」、「遠方の不動産の相続」などが挙げられます。司法書士がお役に立つ場合があります。
■引越後の不動産の売却等
 空き家の売買の相談を受けます。売買に向けての法的なアドバイス、売却に伴う登記手続を代理します。
■施設に入所した後の空き家の管理(成年後見制度の活用等)
 財産管理の委任についての相談を受けます。また、本人が認知症などで判断能力が低下した場合は、家庭裁判所に後見開始等の審判を申立てて、成年後見人を選任して空き家を管理することができます。裁判所に予め司法書士を後見人候補者として申立てすることも可能です。
■遠方の実家の相続(遺産分割等の支援)
 相続登記に向けた戸籍請求等の相続人の調査や相続財産の調査、遺産分割協議や遺産分割協議書作成の相談や支援、不動産登記手続の代理をします。

●空き家への対応の支援

 空き家の管理不全によって近隣の方に危険を与えたり、実害が生じたりしたときは、所有者に危険防止措置をとることや、損害賠償を求めることができます。例えば、「隣りの空き家が自分の家側に倒れそう」、「空き家の樹木の枝が自分の敷地に越境してきた」、「空き家の住人が夜逃げをして行方がわからない」等の問題が挙げられます。
■「空き家が壊れて被害を受けた」(民事訴訟等)
 損害賠償請求の訴状作成、訴額が140万円以内の場合の民事訴訟の代理、または裁判外の和解の代理をします。
■「空き家の住人が夜逃げして行方不明」(不在者財産管理人)、「空き家の所有者の相続人全員が相続放棄をした」(相続財産清算人)
 空き家の所有者が行方不明な場合は、家庭裁判所に不在者財産管理人選任申立、空き家の相続人がいない場合には、相続財産清算人選任申立を行って、空き家の適切な管理や解体などをするよう求めることができる場合があります。

★令和5年4月1日から新たな財産管理制度(所有者不明・管理不全土地、建物管理制度)が創設されました。
 新たな財産管理制度は、特定の土地・建物のみに特化して管理を行う制度となっており、所有者が行方不明や相続人がいないような場合には、複数の不動産や他の財産を保有していても、特定の不動産のみを対象とした管理人の申立てができるため、申立人のニーズに応え、コストの軽減等に繋がります。
 また、所有者がわかっていても適切な管理が行われずに、近隣へ悪影響を与える恐れのある土地・建物については、管理不全土地・建物管理人を選任することで、適切な管理に導くことも可能とする制度が創設されました。
 所有者不明の空き家等の不動産の管理については、今までより選択肢が増えましたので、申立等を検討する場合には司法書士に相談してください。
 このような裁判所に提出する書類の作成を行ないます。また、家庭裁判所にあらかじめ司法書士を不在者財産管理人等の候補者として申立てすることもあります。
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