埼玉司法書士会

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■空き家の管理について

母が先日亡くなり、実家が空き家のままになっています。まだ、相続登記も済んでいません。空き家をそのまま放置しておいても問題はないのでしょうか。なお、母の相続人は私と兄の二人で、それぞれ実家からは遠方に住んでおり戻る予定はありません。

ご相談の内容としては空き家の管理をどうしたらよいのかということと、空き家の相続手続きをどのように進めたらよいのかの2点だと思われます。

 空き家については、近年その数が増えてきております。そのことに伴い、管理されていない空き家の数も増え、社会問題化しております。そのため、平成22年ころから市町村において空き家の管理に関する条例が制定されるようになり、平成26年11月には「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、空家法という)が制定されるに至りました。

 空家法においては、一定の管理不全の空き家について、市町村から「特定空家等」に指定された場合、助言・監督・指導等の対象となり、空き家が建っている土地についての固定資産税の軽減措置が受けれなくなってしまいます。

 また、空き家の管理が適正になされず、近隣の住民の方々に損害を与えてしまうと所有者(所有者であった者の相続人も含めて)損害賠償を請求される等民事上でも責任を負う場合もあります。

 もっとも、これらの場合は空き家の管理が不適正な場合の問題ですので、適正に管理していれば空き家を空き家のままにしておいても問題はないかと思われます。

 次に、空き家の相続登記についてですが、相続放棄の申述(相続開始を知ってから3か月以内)や相続税の申告(同10か月以内)と違って、登記については手続きの期限が定められていません。そのため、相続後すぐに手続きを行わず10年以上放置されるケースも見受けられます。登記手続を行っていない間に相続人の死亡してしまう場合や相続手続きに必要な書類の保存期限が過ぎてしまう等、相続登記を難しくしてしまう場合もありますので早めに手続きをすることをお勧めしています。

詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会(☎048・863・7861)へお尋ねください。

(司法書士 吉田 健)

※埼玉新聞平成28年6月2日から転載

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