埼玉司法書士会

司法書士は、くらしに役立つ法律家です。

■成年後見制度利用促進法について

成年後見制度の利用を促進する法律が制定されたと聞きましたが、どのような制度なのでしょうか。また、今後の私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。

ご指摘のように「成年後見制度の利用の促進に関する法律」が2016年4月15日に公布され、同年5月13日に施行されました。最高裁判所事務総局家庭局が発表した成年後見関係事件の概況によりますと、2017年12月末日時点における成年後見制度(成年後見、保佐、補助、任意後見)の利用者数は合計で約21万人とされています。

一方、ご存知のように日本の高齢者人口は2025年には3,657万人に達し、2042年に3,878万人でピークを迎えるとされています(内閣府発表による)。さらに、65歳以上の認知症高齢者数と有病率の将来推計については、2012年は認知症高齢者数が462万人と65歳以上の高齢者の約7人に1人(有病率15%)であるものが、2025年には約5人に1人の730万人になるとの推計もあります。

そもそも成年後見制度は判断能力の不十分な認知症高齢者、知的障害者、精神障害者の方々を保護または支援するための制度ですが、現状では成年後見制度の利用者数が約21万人であるのに対し、認知症高齢者数が462万人(2012年)と、大きなギャップがあります。2025年の730万人という認知症高齢者数の予測を踏まえ、必要な人に必要な支援を行える人的及びその他のインフラなどを整備するために成年後見制度の利用を促進する目的で、この法律が制定されました。

さらに、その責務を国が負っているというのもこの法律の特徴の一つです。今後、お住まいの市区町村等で、市民後見人(各法律等専門職が行う後見人に対し、一般市民の方が行う後見人をいいます)の育成などの成年後見制度に関する様々な活動が推進され、また親族の方が行っている後見業務についての悩み事などの相談窓口が身近に設置されることが期待されます。ぜひ大きな関心をもってこの法律に接していただければと思います。

詳しくは、お近くの司法書士事務所、または埼玉司法書士会へお尋ねください。

(司法書士 今井明)

※埼玉新聞 平成30年12月6日から転載

各種相談窓口
Copyright(C) 埼玉司法書士会 All Rights Reserved