埼玉司法書士会

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会長声明

■武富士の会社更生手続開始の申立てに対する声明

掲載日:2010.10.05
大手消費者金融業者の武富士は、平成22年9月28日、会社更生手続開始を申し立てました。 貸金業者の筆頭的な存在である武富士は、テレビコマーシャル等を通じて顧客を集め、高金利による過剰な融資を行い、返済に窮すれば過酷な取り立てを重ねて、社会に深刻な多重債務被害を拡大させながら、これまで莫大な利益を上げてきました。多重債務被害の根絶を願って完全施行された改正貸金業法の施行から僅か4カ月足らずで武富士が破綻に追い込まれたことは、個人の生活を脅かしながら平然と巨額の利潤を追求する企業が存在すること自体を社会が許さないことを象徴するできごとであります。 今後、裁判所及び更生管財人の管理監督下において、会社更生手続が進められますが、消費者金融である武富士には、金融機関等の企業債権者ばかりではなく、利息制限法の制限利率を超過する高金利の取立を受けた過払金債権者が全国に200万人も存在し、その殆どが自身が過払金債権者であることすら認識していない債権者(潜在的債権者)であるという、他分野の企業の会社更生と同一に論ずべきでない事情があることに留意しなければなりません。 武富士の会社更生手続において、この潜在的債権者を企業債権者と同様に債権届出期間内に債権届を出さなければ過払金返還請求を認めないと取り扱うことには大きな疑問を抱かざるを得ません。会社更生法による適正な扱いのように見えて、実は消費者被害の放置を容認することにほかならないからです。それは、顧客に支払義務があると誤信させて吸い上げた不当利得を返還することもなく、顧客の犠牲のもとに武富士を再生させることを意味し、公平を欠くと言わざるを得ません。 埼玉司法書士会は、武富士が、直ちに現在及び過去の全顧客の取引について利息制限法に基づく引き直し計算を行い、その結果を顧客に告知するとともに、過払いとなっている顧客には債権届出方法を詳細に説明することを強く求めます。 さらに、裁判所及び更生管財人が、会社全資産を精査することはもちろんのこと、200万人とも言われる過払金債権者が武富士から収奪を受けた被害者であり、金融機関等の企業債権者とはまったく異なる地位にあることに留意し、収奪の構造を創り上げた経営陣の責任を徹底的に追及し、消費者である少額な債権者を企業債権者に優先して取り扱うことを強く求めます。 埼玉司法書士会は、武富士破綻の今後の推移から目を離すことなく、これからも多重債務者の生活再建等に向けた相談活動を展開してまいります。

埼玉司法書士会 会長 藤縄雅啓

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